From 前田佳奈
以前、県外クラブの監督さんと話をする機会がありました。
その監督さんが悩まれていたのが、選手のやる気に温度差があることです。
「バレーに対する気持ちが強い子、練習熱心な子もいるのですが、中には友達に誘われたから…とか、練習に来る回数もバラバラで、やる気があまり感じられない子もいて。選手もチームとしても、練習すればもっと良くなるのに、そこがもったいないというか、指導者としてはもどかしい部分です。」
この悩み、あるあるですよね?
もしかしたらあなたも、同じ悩みを抱えているのではないでしょうか。
さらに監督さんは、続けてこんな悩みも打ち明けてくださいました。
「やる気のあまり感じられない選手でも、いつでも練習に来られるように、うちのクラブは1回300円のチケット制にしているんです。練習は平日2回、土日のどちらかは「午前の部」と「午後の部」の2回行っています。
それでも、練習に来るメンバーと来ないメンバーがいて、毎回何人集まるかはわからないんです。僕は常に行っているので、自分の時給はいくらなんだ?と思ったりもします(笑)
会費を上げたいけど、そうすると辞める子も出てきそうなので、できないんです。
まぁ、好きでやっているのでしょうがないですよね。」
・・・もう、本当に、頭が下がります!
こうして私のブログを読んで勉強しているのですから、きっとあなたもそうだと思いますが、
指導者のみなさんって、本当にバレーが好きで、選手想いで、
自分の時間や家族と過ごす時間を削ってまで、チームのことを考えて練習に取り組んでいる。
すごく熱い方なんですよね!
ただし・・・
この「選手のやる気の温度差」ですが、私の運営するクラブでは、ほとんどありません。
同じ人間ではないので、感情に差があるのは当然のことですが、少なくとも私にこの悩みはないのです。
実はこうした悩みは、「会費」と密接な関係があります。
ほとんどの問題は「会費が安すぎる」ことで起こっている
私もバレースクールを始めたばかりの頃は、1回500円の回数制にしていたのでわかりますが、
なぜそんなに安い会費設定にするかというと、
- 「安いほうが通いやすい」
- 「回数制のほうがいつでも参加できる」
という理由だと思うんですね。
つまり、誰でも通えるクラブにしたいということです。
たしかに、お金を払う親のなかには、「少しでも安いほうが助かる」と思っている人も多いでしょうし、回数制のほうが「気が向いた時に参加できる」し、「行かなくても損はしない」ので親切に感じられるかもしれません。
ですが、別のリスクがあることも知っておいてほしいのです。
会費が安い・回数制だと、
- 「安さ」で選んだ人が集まる
- いつでも休める
こうした状態を作ることになります。なので、選手のやる気や練習回数に差があり、まとまらないクラブになるのも無理はありませんよね。
また、「誰でも通えるクラブ」には、もう一つ大きなリスクがあります。
それは、いろいろな価値観の人が集まることです。
つまり、あなたのクラブコンセプトに価値を感じていない人、合っていない人も集まることになります。
(これがすごくやっかいです!)
だって、あなたのクラブに価値を感じていないんですよ?
あなたが良かれと思って選手のために指導しても、クレームがでることもあるでしょうし、クラブが大切にしていることや規則を守れない人もでてくるでしょう。
クラブコンセプトを否定したり、指導や練習内容に対して、意見する人もでてくるでしょうね。。。
私のクラブで起きた問題は、
- 一生懸命がんばっている子の悪口を言う親がでてきたこと
- 500円、1000円の会費を滞納する人がでてきたこと
- 入会したのに練習に来ない生徒がでてきたこと
この3つです。それに加えて、会費収入が少ない為、生活もやっとの状態でストレスばかり溜まり、とうとう体調をくずしてしまいました。
会費を値上げしたら全部解決した!
そうした状態もあったので、コンサルタントのアドバイス通り、値上げにふみきりました。
その際、私が行ったことは次の3つです。
- 回数制をやめて、月額制にした
- 月謝袋での集金をやめて、口座振替にした
- 会員コースを3段階にわけた
それぞれのメリットをひとつずつ説明しますね!
◯月額制のメリット
- 毎月、金額が決まっているので、親も会計管理しやすい
- お金を払っているから「行かなきゃ損」だと思うので、選手は練習を休まない
- 一度入会すると、すぐには辞めない
◯口座振替のメリット
- 毎月決まった日に集金できるので、収入が安定する
- 月謝袋の紛失がない(子どもに持たせなくてもよい)
- 月謝袋の準備などの事務作業が減る
◯会員コースを3段階にわける
- 生徒はニーズにあわせて選ぶことができる
- 値上げを感じさせずに、値上げができる
- これを機会に、練習回数が増えた生徒がでてきた
結果的に、値上げをした時に辞めた生徒は一人もいませんでしたし、気づいた時には「嫌な会員さん」は自然といなくなっていました。
なぜ会費を上げる必要があるのか?
理由は2つです。
まず1つ目は、単純に利益が上がるからです。
全国にあるほとんどのバレーボールクラブは、頑張っている割に利益が残らないクラブです。
だから、サービスの質を高めることにお金をかけることもできず、生徒を集めるために広告費をかけることもできないのです。何か新しい取り組みにチャレンジすることもできません。
そうした嫌な現実から目を背け「利益を上げる目的でやっていない」と言う人がいますが、果たしてそれで10年20年クラブを成長させ、守っていくことができるでしょうか。
優れたバレークラブ経営者(指導者)は、利益を上げる(残す)ことで、クラブを成長させる為のエネルギーになることを知っています。
2つ目の理由は、いい会員さんだけと付き合えること。つまりいい会員さんに恵まれることです。
あなたは、どちらの会員さんと付き合いたいですか?
- お金を基準にあなたのクラブを選んだ人
- お金とは関係なしに、あなたのクラブのサービスに価値を感じている人
私は後者です。
安さに価値を感じている人というのは、あなたのクラブよりも安い金額で活動しているクラブがあったら、きっとそのクラブに行ってしまう人です。
せっかく労力をかけて集めた生徒さんに、一生懸命あなたが自分の時間を削ってまでバレーを提供していくのですから、やっぱり『あなただからうちの子を預けた』『あなたから教わりたい』と思ってくれる生徒さんと、付き合っていきたいと思いませんか?
会費を上げることで、あなたや、あなたのクラブに価値を感じている人だけを集めることができるので、嫌な会員さんとのコミュニケーションに頭を悩ませることもありませんし、クレーム処理に時間を費やすこともなく、あなたはさらなるサービスの向上や生徒への指導に専念できるというわけです。
バレーボールクラブにも「対価」が必要
私はバレーボールというスポーツには、素晴らしい価値があると思っています。
サッカーやバスケのように、1人でドリブルしてシュートなんてことはできませんし、野球のようにホームランを打ってチームを勝利に導くこともできません。
(サーブだけで25点とる選手なんて、いませんよね?笑)
だから、チームスポーツの中でも、本当の意味でチームワークを学べるスポーツだと思います。
「次の人に繋ぐ」という一つ一つのプレーが、どれほどに人間性を高めるか。
コミュニケーションや人間関係も学べますし、自分自身を深く知ることもできます。
バレーボールは、子どもたちの成長を支えるスポーツなのです。
そうした素晴らしい価値を提供しているのが、私たちバレーボールクラブ。
あなたが私と同じように、バレーボールに価値を感じているのならば、きちんと「対価」を受け取るべきですし、対価を受け取ることに抵抗もないはずです。
まさか、、、
「お金を払ってまでバレーボールクラブに通わす親はいない」なんて、思っていませんよね?Σ(゚Д゚;)
ぜひ、自信をもって、生徒さんを信じて、対価をとってくださいね。
あなたが思っている以上に、生徒さんはあなたを必要としていますし、価値を感じているはずです。
会費を上げても辞めずに残ってくれた生徒さんに、今以上のサービスを提供することができれば、さらに満足度は高まりますので、口コミで新たな生徒が入会してきます。
そしてまた、上がった利益をクラブの質の向上に投資するのです。
お互い、頑張っていきましょう!^^
それでは今日はこのへんで。
PS.そうは言っても・・・
値上げに踏み切るのは、とても勇気がいります。
私も今月、4回目?5回目?の値上げを行いますが、さすがにビビりました。笑
どんな方法があるのか、いくらにすべきか等、いつでもご相談くださいね!
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